【この記事の結論】
- 申告書の提出と納税は、自宅から終えられます
- 書類集めは一部だけ自動化できます。報酬の売上と必要経費は自動入力されません
- マイナンバーカードの受け取りと電子証明書の更新は、市区町村の窓口です
- ID・パスワード方式は2025年10月1日から新規発行が停止され、令和9年分の申告から使えなくなる予定です
- 報酬で受け取っている人は、申告のために店へ書類を頼む必要がありません。手元に記録があればの話です
この記事は、手続きをどこまで自宅から進められるかを整理する記事です。申告する所得の種類、経費、控除、税額の計算は扱いません。そして、税務署に行かないことと、申告しなくてよいことは別です。この記事は前者だけを扱います。
- 1. どこで窓口が発生するか
- 2. 提出を自宅から終える
- 3. 書類を自宅で集める
- 4. 納税と還付
- 5. 相談を窓口以外で済ませる
- よくある質問
- 税務署へ一度も行かずに申告できますか
- マイナンバーカードは必ず必要ですか
- すでにID・パスワード方式を使っています
- カードを持っているのにe-Taxへ入れません
- パソコンがなくても申告できますか
- 郵送で出す場合はどうなりますか
- 返信用封筒を入れれば申告内容の証明になりますか
- マイナポータル連携で全部自動入力されますか
- 報酬型でも連携を使う意味がありますか
- 国民年金の控除証明書は自動で入りますか
- 国民健康保険料も自動入力されますか
- 店に源泉徴収票を頼まなくてよいのですか
- 支払額が分からない場合はどうしますか
- 連携はいつ準備すればよいですか
- 納税のために銀行へ行く必要がありますか
- スマホアプリでいくらまで納付できますか
- 振替納税の手続きに窓口は必要ですか
- 還付金は取りに行く必要がありますか
- 名前を出さずに質問できますか
- まとめ
- この記事の情報について
1. どこで窓口が発生するか
1-1. 場面ごとの経路
| 場面 | 自宅からできること |
|---|---|
| 申告書の提出 | e-Taxまたは郵送 |
| 書類集め | マイナポータル連携・郵送・自分の記録 |
| 納税 | 口座振替・ネットバンキング・カード・決済アプリ |
| 相談 | チャットボット・電話相談 |
| 還付金の受取 | 口座振込 |
提出と納税は完結します。書類集めは、発行元が対応していないものは郵送で受け取るか自分の記録から入力します。相談は、具体的な資料を見せなければ判断できないものだけが窓口になります。
多くは窓口へ行かずに終えられますが、すべてがオンラインになるわけではありません。
1-2. カードで窓口が発生する
e-Taxを自宅から使うには、原則としてマイナンバーカードを使います。
申請はオンラインや郵送でできますが、完成したカードは原則として市区町村の交付場所で受け取ります。自治体や本人の事情によって別の受取方法が設けられていることもあります。
もう一つが電子証明書です。カード本体の有効期限と電子証明書の有効期限は別です。電子証明書は原則として発行日から5回目の誕生日までで、更新は市区町村の窓口で行います。カードが手元にあっても、電子証明書が失効していればe-Taxの認証に使えません。
有効なカードと電子証明書があり、一般的な申告内容であれば、作成から納税まで自宅で進められます。ただし、資料を確認してもらう面接相談が必要な場合など、窓口が完全にゼロになるとは限りません。
2. 提出を自宅から終える
2-1. これから始める人はマイナンバーカード方式
e-Taxの提出方法には、マイナンバーカード方式とID・パスワード方式がありました。
ID・パスワード方式は2025年10月1日から新規発行が停止されています。すでに届出をしている人は当面使えますが、令和9年分の確定申告からは利用できなくなる予定です。
これから始める人の選択肢は、マイナンバーカード方式か、書面での提出の二つです。IDを持っている人は、終了予定までに切り替えておくと次の申告で止まりません。
なお、送信直後は画面で受信通知を確認し、申告書をPDFで保存できます。後からメッセージボックスの詳細を確認する場合は、原則として電子証明書による認証が必要です。
2-2. スマートフォンだけで提出できる
国税庁の確定申告書等作成コーナーはスマートフォンから使えます。カードを読み取れる端末があり、作成コーナーが対応している内容であれば、作成から送信まで進められます。パソコンやICカードリーダライタは必須ではありません。
スマートフォンへカードの機能を搭載することもできます。Androidはスマホ用電子証明書、iPhoneは「iPhoneのマイナンバーカード」に対応しています。ただし最初の登録や機種変更時には物理カードが必要になることがあります。
送信したら、次の二つを保存してください。
- 送信した申告書のPDF
- 受付日時と受付番号が分かる受信通知
この記録を収入証明として使う場面は『夜職の入居審査|確定申告の記録が収入証明になる』で扱っています。
2-3. カードがない年は郵送できる
作成コーナーで申告書を作り、印刷して送ります。
ただし2025年1月から、控えへの収受日付印は押されなくなりました。提出するのは正本だけで、控えは自分で保存し、提出日も自分で記録します。
切手を貼った返信用封筒を同封すると、収受日と税務署名が記載されたリーフレットが返送されます。このリーフレットに申告書の内容や書類名は記録されません。自分の控えと組み合わせて使います。
書面提出では、マイナンバーの記載と本人確認書類の添付も必要です。
3. 書類を自宅で集める
3-1. 自動入力できるもの
マイナポータル連携を使うと、発行元から取得したデータを申告書の該当欄へ自動入力できます。利用できるのは、マイナンバーカードでe-Tax提出する場合です。
対象には、給与と公的年金の源泉徴収票、医療費通知情報、生命保険料・地震保険料の控除証明書、国民年金保険料と国民年金基金掛金の控除証明書、iDeCoの掛金払込証明書、小規模企業共済等掛金の証明書、寄附金証明書、特定口座年間取引報告書、住宅ローン控除関係の書類などがあります。
いずれも発行元が連携に対応している必要があります。給与の源泉徴収票が自動入力されるのは、令和5年分以後で、勤務先が税務署へe-Taxで提出している場合です。
そして最も重要な点です。報酬の売上と必要経費は自動入力されません。自動化できるのは控除書類の一部で、売上と経費の記録は自分で作ります。
掛け持ちの組み立ては『2か所から収入がある人の確定申告|昼職×夜職・店の掛け持ち』で扱っています。
3-2. 国民年金と国民健康保険は仕組みが違う
国民年金保険料の控除証明書をマイナポータルで受け取るには、マイナポータルとねんきんネットを連携し、ねんきんネットで電子送付の希望登録をします。登録すると紙の郵送は停止されます。
国民健康保険料はこの仕組みの対象ではありません。理由は制度の側にあります。国民年金保険料の控除には支払を証する書類の添付が要件になっていますが、国民健康保険料にはこの要件がありません。
つまり国民健康保険料は証明書がなくても申告できます。市区町村から届く納付額の案内、領収書、口座の引き落とし記録から、その年に支払った額を確認して入力します。
3-3. 報酬の記録は自分で用意する
給与には源泉徴収票が交付されますが、給与ではない報酬に給与所得の源泉徴収票は交付されません。
報酬の支払者が税務署へ支払調書を提出することはありますが、受取人へ交付する法的義務はありません。
そのため、報酬の収入は自分の記録から組み立てます。支払明細、現金で受け取った額の記録、口座への入金記録、差し引かれた金額の明細、源泉徴収された所得税の額、日ごとの売上記録です。
これらがそろっていれば、申告のためだけに店へ書類を依頼する必要はありません。逆に支払額や源泉徴収額が分からなければ、店へ確認することになります。
店へ連絡せずに済むかどうかは、手元の記録がそろっているかで決まります。

3-4. 連携の準備は申告期より前に
連携には事前設定が必要で、発行元によってはデータ取得まで数日かかります。申告期限の直前に始めると間に合わないことがあります。
ただし間に合わなくても申告を先送りする必要はありません。紙の証明書や自分の記録があれば、手入力で期限内に申告できます。
4. 納税と還付
4-1. 窓口へ行かずに納税する
国税は次の方法で納付できます。
- 振替納税——登録した口座から指定日に自動で引き落とされます
- ダイレクト納付——e-Taxから登録口座で納付します
- インターネットバンキング——ネットバンキングや対応ATMから納付します
- クレジットカード納付——専用サイトから納付します。決済手数料がかかります
- スマホアプリ納付——対応する決済アプリで納付します
振替納税の依頼書とダイレクト納付の利用届出書は、対応する金融機関の口座であればe-Taxからオンライン提出できます。振替納税を使えるのは申告所得税等と個人事業者の消費税等で、税目ごとに手続きが必要です。
ダイレクト納付も事前登録が必要で、利用可能になるまで時間がかかることがあります。
スマホアプリ納付を使えるのは納付税額が30万円以下の場合です。国税庁は、30万円を超える税額をアプリ納付のために複数回へ分けることは控えるよう案内しています。2025年2月1日から、e-Taxを経由して専用サイトへアクセスする方式に一本化されました。
どの方法が有利かは、納付額、口座残高、手数料、使える金融機関によって変わります。
4-2. 還付金は口座で受け取れる
申告書に本人名義の振込口座を記載すれば、口座へ振り込まれます。公金受取口座を登録している人は、その口座も指定できます。
e-Taxで提出した還付申告は、書面提出より早く処理される傾向があります。ただし内容の確認、書類の不備、別送書類があると長くなります。
還付金を受け取るために税務署へ行く必要はありません。
5. 相談を窓口以外で済ませる
5-1. チャットボット
国税庁のチャットボット「税務職員ふたば」は、24時間利用できます。用意された質問と回答から一般的な情報を確認する仕組みです。
名前を伝えずに使えます。選択肢から進む形なので、氏名や連絡先を入力する場面がありません。
一方で、個別の帳簿や申告書を見て判断してもらうものではありません。
5-2. 電話相談センター
一般的な相談は、国税相談専用ダイヤルまたは税務署の音声案内から電話相談センターへつながります。制度の内容、手続き、一般的な税法の扱いを職員へ確認できます。相談内容によっては、氏名や具体的な状況を聞かれることがあります。
5-3. 面接相談が必要になる場合
具体的な書類や事実関係を確認しなければ回答できない場合は、税務署での面接相談になることがあります。
面接による申告相談は事前予約制です。予約せずに来署すると、対面ではなく税務署内の相談専用電話を案内されることがあります。
窓口へ行く前に、チャットボットか電話相談センターで解決できないか確認してください。
よくある質問
税務署へ一度も行かずに申告できますか
有効なカードと電子証明書があり、面接相談が不要なら自宅から進められます(1-2)。
マイナンバーカードは必ず必要ですか
これから始める人はマイナンバーカード方式が基本です。用意できない場合は書面で郵送できます(2-1・2-3)。
すでにID・パスワード方式を使っています
令和9年分の確定申告から使えなくなる予定です。終了前に切り替えてください(2-1)。
カードを持っているのにe-Taxへ入れません
電子証明書の有効期限と暗証番号を確認してください。カード本体が有効でも電子証明書が失効していれば使えません(1-2)。
パソコンがなくても申告できますか
対応するスマートフォンとカードがあれば作成コーナーから申告できます(2-2)。
郵送で出す場合はどうなりますか
作成コーナーで作り、印刷して送ります。控えに収受日付印は押されないため、自分の控えと郵送記録を残してください(2-3)。
返信用封筒を入れれば申告内容の証明になりますか
リーフレットには収受日と税務署名が記載されますが、申告書の内容は記録されません(2-3)。
マイナポータル連携で全部自動入力されますか
されません。報酬の売上と必要経費は自分で入力します(3-1)。
報酬型でも連携を使う意味がありますか
医療費、国民年金、生命保険、iDeCo、小規模企業共済などを取り込める場合があります(3-1)。
国民年金の控除証明書は自動で入りますか
ねんきんネットで電子送付の希望登録が必要です。登録すると紙の郵送は停止されます(3-2)。
国民健康保険料も自動入力されますか
対象ではありません。添付要件がないため、納付額の案内や口座記録から入力します(3-2)。
店に源泉徴収票を頼まなくてよいのですか
給与ではない報酬に源泉徴収票は交付されません。記録が手元にあれば申告できます(3-3)。
支払額が分からない場合はどうしますか
支払明細、入金記録、日ごとの記録を確認します。それでも分からなければ店へ確認します(3-3)。
連携はいつ準備すればよいですか
発行元によっては数日かかります。申告期が始まる前に準備してください(3-4)。
納税のために銀行へ行く必要がありますか
キャッシュレス納付を使えば窓口は不要です。事前登録が要る方法もあります(4-1)。
スマホアプリでいくらまで納付できますか
納付税額が30万円以下の場合です。超える場合は他の方法を選びます(4-1)。
振替納税の手続きに窓口は必要ですか
対応口座であればe-Taxからオンライン提出できます。税目ごとに手続きが必要です(4-1)。
還付金は取りに行く必要がありますか
申告書に振込口座を記載すれば振り込まれます(4-2)。
名前を出さずに質問できますか
チャットボットは名前を伝えずに使えます。電話相談や面接相談では聞かれることがあります(5-1・5-2・5-3)。
まとめ
申告期より前にやること
- カードの有無と、カード本体・電子証明書の有効期限を確認する(1-2)
- カードがなければ、申請と受取方法を市区町村で確認する(1-2)
- 必要ならスマートフォンへカードの機能を搭載する(2-2)
- マイナポータルと必要な発行元を連携する(3-1・3-4)
- 国民年金の証明書を電子で受け取るなら、ねんきんネットで登録する(3-2)
- 報酬の売上・源泉徴収額・必要経費の記録をそろえる(3-3)
- 振替納税やダイレクト納付を使うなら、口座を登録する(4-1)
申告書を作る作業より前に、認証と連携の準備を終わらせてください。カードの交付、連携、口座登録には時間がかかります。
申告期にやること
- 作成コーナーで申告書を作る(2-2)
- マイナポータル連携のデータを取り込む(3-1)
- 報酬の売上・必要経費・源泉徴収額を自分で入力する(3-3)
- 内容を確認して送信する(2-2)
- 申告書のPDFと受付結果を保存する(2-2)
- 納税方法または還付口座を確認する(4章)
過去の年分をこれから申告する人は『夜職で無申告だった人が今からやること』を先に確認してください。白色と青色では作成する決算書が異なります。『夜職の白色申告と青色申告』で扱っています。
マイナポータル連携を使っても、報酬の売上と必要経費までは自動入力されません。反対に、自分の記録がそろっていれば、源泉徴収票や支払調書が届くのを待つ必要はありません。
そして、税務署へ行かずに申告できるようになっても、申告そのものが不要になるわけではありません。
窓口への抵抗で止まっているなら、まずカードと手元の記録を確認するところから始めてください。
確定申告そのものの全体像は、noteの「夜職の確定申告の全体像」にまとめています。
この記事の情報について
制度やシステムの運用は変わることがあります。手続きをする時点の内容は、次の一次情報で確認してください。
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」
- e-Tax「ID・パスワード方式について」
- 国税庁「マイナポータル連携特設ページ」
- 国税庁「キャッシュレス納付」
- 国税庁「国税に関するご相談について」
- 日本年金機構「確定申告・年末調整に必要な通知書をマイナポータルで受け取る」
- マイナンバーカード総合サイト
- お住まいの市区町村のマイナンバーカードに関する案内
最終更新:2026年8月


