【この記事の結論】
- 所得税の記録では、品名や支払先が分かるレシートを残せばよく、手書きの領収書へ替えてもらう必要は通常ありません(1-1)
- 事業所得を白色申告する人は、領収書などの書類を原則5年、収入や経費を記載した帳簿を7年保存します(2-1)
- 青色申告では、領収書などの現金預金取引等関係書類は原則7年です(2-1)
- 紙で受け取った書類は、写真を撮っただけでは原本を捨てられません(3章)
- メールやWebサイトで受け取った領収書は、印刷しても電子データを残します(4章)
- 店から差し引かれた金額は、領収書が出ないことがあります。在籍中に明細を保存してください(5章)
この記事は、集めた領収書、レシート、店の明細をどう保存するかの記事です。
何が必要経費になるか、帳簿へどう記入するかまでは扱いません。また、消費税の仕入税額控除やインボイスの詳しい保存要件も、所得税とは別の制度になるため扱いません。
ここでは、紙で受け取ったものと電子で受け取ったものの違い、何年残すか、夜職で消えやすい記録に絞って整理します。
1. レシートをそのまま残せば足ります
1-1. 手書きの領収書へ替えてもらう必要は通常ありません
「経費にするには、領収書と書かれた紙が必要」と思われがちですが、書類の名前だけで必要経費になるかどうかが決まるわけではありません。
レジから発行されるレシートも、支払った日、店、金額、購入内容を確認するための書類です。
次の内容が印字されていれば、手書きの領収書より詳しいこともあります。
- 支払日
- 店舗名
- 購入した商品やサービス
- 金額
- 支払方法
そのため、レシートを受け取った後で、わざわざ手書きの領収書へ替えてもらう必要は通常ありません。
1-2. 宛名の有無だけでは決まりません
レシートには、自分の氏名や屋号が書かれていないことがあります。
ただし、宛名がないことだけで、必要経費として使えないとは決まりません。
確認されるのは、次の内容です。
- いつ支払ったか
- 誰へ支払ったか
- 何に支払ったか
- いくら支払ったか
- 仕事とどのような関係があるか
反対に、宛名が書かれた領収書があっても、仕事との関係を説明できなければ、それだけで必要経費になるわけではありません。
何が必要経費になるかは、夜職の経費はどこまで認められる?で扱っています。
1-3. 「お品代」より品名のあるレシートを残します
手書きの領収書には、但し書きが「お品代」としか書かれていないことがあります。
一方、レシートには、品名、数量、単価まで印字されていることがあります。
後から支払内容を説明しやすいのは、品名が残っているレシートのほうです。
仕事用と私物を一緒に購入した場合は、仕事に使った品目へ印を付け、帳簿やメモに用途を残します。
用途を書けば自動的に必要経費になるわけではありませんが、後から何の支払いだったか分からなくなることを防げます。
2. 保存期間が終わるまでは捨てません
2-1. 白色と青色では保存年数が違います
帳簿と領収書は、同じ年数ではありません。
| 申告方法 | 保存するもの | 保存期間 |
|---|---|---|
| 白色 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿 | 7年 |
| 白色 | 領収書、請求書、納品書などの書類 | 5年 |
| 青色 | 帳簿、決算関係書類 | 7年 |
| 青色 | 領収書や預金通帳など | 原則7年 |
| 青色 | 見積書、契約書、納品書など、上記以外の書類 | 5年 |
青色申告の領収書などには、前々年分の事業所得などが一定額以下の場合、5年保存になる例外があります。
ただし、どの書類が例外に当たるかを毎回判断するより、領収書や店の明細を7年残す形に統一したほうが管理は簡単です。
業務に係る雑所得がある人も、前々年のその業務の収入金額が一定額を超える場合は、領収書などの現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。
インボイス発行事業者として登録している人は、交付したインボイスの写しや帳簿書類を原則7年間保存します。白色申告だから領収書は5年、とだけ判断しないでください。登録するかどうかの判断は、夜職とインボイス|登録を求められたときの判断で扱っています。
白色申告と青色申告の違いは、夜職の白色申告と青色申告で扱っています。
2-2. 受け取った日から5年ではありません
保存期間は、レシートを受け取った日から単純に5年、7年と数えるものではありません。
原則として、その書類を作成または受領した年の翌年3月15日の翌日から保存期間を数えます。
たとえば、2026年中に受け取った書類を5年保存する場合は、2027年3月16日から数えます。2026年が終わった時点で1年保存したことにはなりません。
そのため、5年保存の書類でも、実際に手元へ置く期間は5年より長くなります。
書類を捨てるときは、受け取った月ではなく、何年分の申告に使った書類かで判断してください。
2-3. 捨てられるのは保存期間を終えた後です
紙の領収書やレシートを捨てられるのは、原則として保存期間が終わった後です。
保存期間の途中で捨てられるのは、電子帳簿保存法の要件を満たしたスキャナ保存へ切り替えている場合などに限られます。
次に当てはまらない紙は、捨てずに残します。
- 保存期間が終わっている
- 正式なスキャナ保存の要件を満たしている
- 同じ書類が重複しており、保存すべき原本が別に残っている
迷った場合は、短いほうの保存期間だけで捨てず、7年残すほうが安全です。
3. 紙で受け取ったものは原本を残します
3-1. 写真は原本の代わりではありません
紙のレシートや明細を、受け取った日に撮影しておくことには意味があります。
- 紛失したときに内容を確認できる
- 感熱紙の文字が消えたときに読み返せる
- 帳簿へ入力するときに拡大できる
ただし、スマホで写真を撮っただけでは、紙の原本を捨てられません。
写真は印字消えや紛失への備えであり、通常の紙保存に代わるものではありません。
3-2. 紙を捨てるにはスキャナ保存の要件があります
紙の領収書やレシートを電子データへ変え、紙を廃棄する制度はあります。
ただし、カメラロールへ写真を入れておくだけでは足りません。
スキャナ保存では、一定の期間内に読み取り、内容が明瞭に確認でき、訂正や削除への対策があり、必要なときに検索・表示できる状態にするなどの要件があります。
正式にスキャナ保存へ切り替えていない場合は、次の形で残します。
- 紙の原本を保存する
- 印字消えに備えて撮影する
- 帳簿へ内容を記録する
3-3. 感熱紙は光と熱を避けます
レシートの多くは感熱紙です。
財布や車内へ長く入れておくと、熱や光で印字が薄くなることがあります。
受け取ったら、次の順で処理します。
- 内容が読めるうちに撮影する
- 帳簿へ入力する
- 年や月ごとの封筒へ移す
- 光と熱を避けて保存する
印字が薄くなった場合も、すぐに捨てないでください。写真、帳簿、カード明細、購入履歴などと合わせて内容を確認できる可能性があります。
4. 電子で受け取ったものはデータを残します
4-1. 印刷した紙だけでは足りません
メール、Webサイト、アプリなどで領収書や請求書を受け取る取引があります。
電子で受け取った書類は、印刷して読むことはできます。ただし、印刷した紙だけを残し、元のデータを削除することはできません。
覚え方は次のとおりです。
- 紙で受け取ったものは、紙を残す
- 電子で受け取ったものは、電子データを残す
- 紙を電子だけへ変える場合は、スキャナ保存の要件を満たす
4-2. 保存するのは取引内容が分かるデータです
電子で受け取る書類には、次のようなものがあります。
- ネット通販の電子領収書
- 配車アプリの領収書
- 通信料金のWeb請求書
- サブスクの利用明細
- 宿泊や交通機関の電子領収書
- 決済アプリの取引履歴
メールにPDFが添付されている場合は、そのPDFを保存します。
メール本文に取引内容が書かれている場合は、日付、相手、金額、内容が分かるメールを残します。
Webサイトやアプリでしか見られない場合は、ダウンロードできるデータを保存します。ダウンロードできなければ、必要な情報が見える画面を保存してください。
通信料金の扱いは、夜職の通信費と家事按分|割合の決め方と根拠の残し方で扱っています。
4-3. サイト上にあるだけでは消えることがあります
Webサイトやアプリに領収書が表示されていても、保存期間中ずっと見られるとは限りません。
- 過去の履歴が一定期間で消える
- 退会すると見られなくなる
- サービスが終了する
- ログイン情報を失う
そのため、サイトに置いたままにせず、自分の端末やクラウドへ保存します。
細かな検索要件の判定は別としても、まず必要なのは、データを消さず、後から取り出せる状態にすることです。
5. 店の明細は退店前に保存します
5-1. 引かれた金額には領収書が出ないことがあります
夜職では、報酬が支払われる前に、店側で金額が差し引かれることがあります。
たとえば、明細には次のような名称が書かれることがあります。
- 源泉所得税
- 送り代
- ヘアメイク代
- 寮費
- 衣装代
- 撮影代
- 雑費
- 店が立て替えた金額の精算
これらについて、別の領収書が発行されないことがあります。
その場合、総額、項目名、差引額、実際の受取額が書かれた店の明細が、内訳を確認する中心資料になります。
ただし、店から差し引かれた金額が、すべて必要経費になるわけではありません。
源泉所得税は必要経費ではなく、確定申告で年間の所得税と精算する金額です。送り代やヘアメイク代なども、仕事との関係や支払内容を確認して判断します。

5-2. 紙の明細は原本、画面の明細はデータを残します
紙で渡された明細は、原本を残して撮影します。
店のアプリやマイページに表示される場合は、可能であれば次を保存します。
- 日ごと、または月ごとの明細
- 報酬の総額
- 源泉所得税
- その他の控除
- 差引後の受取額
- 年間集計
ダウンロード機能がなければ、店名、対象日、金額、内訳が分かる状態で画面を保存します。
5-3. 退店後は見られなくなることがあります
店のアプリやマイページは、退店後も必ず使えるとは限りません。
アカウントが停止されたり、過去の履歴が表示されなくなったりすると、申告時期になってから明細を取り出せません。
退店前に、次を確認します。
- その年の明細がすべて残っているか
- 年間集計を保存できるか
- 源泉所得税の合計が分かるか
- 未精算の金額がないか
辞める前後に確認するお金は、夜職の辞め際の金|辞める前に精算するものと辞めた後に来る請求で扱っています。
5-4. カード明細だけでは購入内容が分からないことがあります
クレジットカードや決済アプリの明細は、支払日、支払先、金額を確認する資料になります。
ただし、何を買ったかまでは書かれていないことがあります。
同じ店で仕事用と私物を一緒に購入した場合は、カード明細だけでは内訳を分けられません。
カード払いでも、紙のレシートまたは電子領収書を合わせて残してください。
6. 年と月で分けて保存します
6-1. 細かい科目分けより、年と月を先に分けます
領収書を費目ごとに細かく分類しようとすると、保存作業そのものが続かなくなります。
最初は、年と月で分ければ構いません。
- 年ごとに箱やファイルを分ける
- 中を月ごとの封筒に分ける
- 店の明細と年間書類だけ別にする
必要なのは、完璧に並べることではなく、確認を求められたときに対象の書類を取り出せることです。
電子データも同じように、年と月でフォルダを分けます。
6-2. 家族に見られにくい置き場所を選びます
店の明細やレシートには、勤務先や仕事の内容が分かる情報が残ることがあります。
家族と同居している場合は、次のような方法で保存します。
- 中身が見えない封筒へ入れる
- 表面に店名や仕事内容を書かない
- 鍵のかかる箱へ入れる
- 電子データにパスコードを設定する
保存期間中になくさず、自分だけが必要なときに取り出せる場所を選んでください。
7. よくある質問
レシートでも必要経費の資料になりますか
支払日、店、金額、購入内容が分かるレシートは、支払いを説明する資料になります。
手書きの領収書でなければ使えないわけではありません(1-1)。
宛名が空欄でも大丈夫ですか
宛名がないことだけで、必要経費になるかどうかは決まりません。
支払内容と仕事との関係を説明できるようにしてください(1-2)。
白色申告の領収書は何年残しますか
事業所得を白色申告する人が業務に関して受け取った領収書などは、原則5年です。
収入や必要経費を記載した帳簿は7年です(2-1)。
青色申告の領収書は何年残しますか
領収書などの現金預金取引等関係書類は原則7年です。
一定の例外はありますが、迷う場合は7年残します(2-1)。
保存期間はいつから数えますか
原則として、その書類を作成または受領した年の翌年3月15日の翌日から数えます。
レシートを受け取った日から単純に5年ではありません(2-2)。
写真を撮ったら紙を捨てていいですか
通常の写真撮影だけでは捨てられません。
紙を廃棄するには、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たす必要があります(3章)。
メールで届いた領収書は印刷すればいいですか
印刷して確認することはできますが、印刷した紙だけでは足りません。
PDFやメールなどの電子データも残します(4章)。
店から引かれた送り代の領収書がありません
別の領収書が出ない場合は、総額、項目名、金額、差引後の受取額が分かる店の明細を残します。
ただし、店から引かれたという理由だけで必要経費になるわけではありません(5-1)。
辞めた店の明細は後から見られますか
店のシステムによって異なります。
退店後にアカウントが停止されることもあるため、在籍中に保存してください(5-3)。
カード明細があればレシートは捨てられますか
カード明細には購入内容が書かれていないことがあります。
紙のレシートや電子領収書も合わせて残してください(5-4)。
8. まとめ
- 所得税の記録では、品名や支払先が分かるレシートをそのまま残せばよい(1章)
- 宛名の有無だけで必要経費になるかどうかは決まらない(1-2)
- 白色申告の帳簿は7年、領収書などは原則5年(2-1)
- 青色申告の領収書などは原則7年(2-1)
- 保存期間は、翌年3月15日の翌日から数える(2-2)
- 紙は写真を撮っただけでは捨てられない(3章)
- 電子で受け取った領収書は電子データを残す(4章)
- 店から差し引かれた金額は、総額と内訳が分かる明細を残す(5-1)
- 店のアプリやマイページの明細は退店前に保存する(5-3)
- 紙も電子も、年と月で分けて取り出せる状態にする(6章)
noteでは無料記事「夜職の確定申告の全体像」を公開しています。
自分の状況に合う記事を探すなら、夜職のお金|状況から記事を選ぶから選べます。
本記事は情報提供を目的としたもので、個別の税務判断を保証するものではありません。最終的な判断は税務署または税理士へご確認ください。
この記事の情報について
この記事は2026年8月6日時点で確認できた情報をもとに書いています。
制度は改正されることがあります。手続きをする時点の内容は、次の一次情報で確認してください。
- 国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
- 国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」
- 国税庁「電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)」
- 国税庁「電子帳簿保存法一問一答(スキャナ保存関係)」
- 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」
内容に変更があった場合は、この記事を更新し、上の日付を書き換えます。
最終更新:2026年8月

