夜職の確定申告に必要な書類|店から届くものと自分で集めるもの

確定申告

【この記事の結論】

  • 報酬として受け取っている人に、店が支払調書を渡す義務はありません。支払調書を待たなくても申告準備は進められます(2-1)
  • 給与として受け取っている人には、店が源泉徴収票を交付する義務があります(2-2)
  • 報酬型の申告で使う記録の大半は、店から届く書類ではなく、自分の明細・通帳・アプリ・現金記録です(3章)
  • 控除証明書は秋から翌年2月ごろにかけて届きます。発送時期は書類と納付時期によって違います(4-1)
  • 揃わないものがあるときは、「再発行する書類」と「別の記録から復元するもの」を分けて考えます(5章)

この記事は、確定申告のために何を集めるかの記事です。集めた書類をどう計算に使うか、何が経費になるかまでは扱いません。店が明細や年間の集計を出してくれるかどうかは店ごとに違うため、ここでは店から何も来なくても準備を進められる形で整理します。

運営者は税理士ではありません。書けるのは制度の説明までで、個別の税務相談には答えられません(税理士法)。判断に迷うものは、最後に税務署か税理士へ確認してください。

1. 集めるものは3つの出どころに分かれます

書類の名前だけで覚えると、どこへ取りに行けばいいのか分からなくなります。出どころで分けると、待つもの・探すもの・再発行するものが見えます。

出どころ 主なもの 手に入る時期
店から来る 源泉徴収票(給与の人)/支払明細(発行される場合) 毎回の支払時、退職後、年明け
自分で残す 収入記録/経費のレシート・領収書/通帳・アプリの履歴 取引のたびに残す
発行元から来る 控除証明書/医療費通知/オンラインで取得するデータ 秋から翌年2月ごろまで

報酬として受け取っている人には、店から必ず届く年間書類がありません。年明けまで待つのではなく、先に自分の手元にある明細、通帳、アプリ、現金の記録から確認します。

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2. 店から来るものと来ないもの

2-1. 報酬型に支払調書を渡す義務はありません

報酬として受け取っている人が待ちがちなのが、店からの支払調書です。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、本人へ交付する義務のある書類ではありません。一定の報酬や金額要件に該当するときに、支払者が税務署へ提出する法定調書です。店側に税務署への提出義務が生じるかどうかと、本人へ写しを渡すかどうかは別の話です。

店が任意で写しや年間集計を発行してくれることはあります。ただし、発行されるとは限りません。報酬型は支払調書を申告準備の開始条件にせず、自分の明細と収入記録から先に組み立てます。

自分が報酬と給与のどちらで受け取っているのか分からない場合は、夜職の辞め際の金|辞める前に精算するものと辞めた後に来る請求の2章に判別のしかたを書いています。

2-2. 給与型の源泉徴収票には交付義務があります

給与として受け取っている場合は扱いが違います。給与の源泉徴収票は、支払を受けた人へ交付する義務が支払者にあります。

交付期限は、通常は翌年1月31日です。年の途中で退職した場合は、退職後1か月が期限です。期限を過ぎても交付されないときは、まず勤務先へ請求し、それでも出ない場合は税務署へ「源泉徴収票不交付の届出」を出す手続があります。

昼職と夜職の両方が給与なら、それぞれの勤務先から源泉徴収票を受け取ります。片方だけで申告すると、収入も源泉徴収税額も合いません。掛け持ちの申告の形は2か所から収入がある人の確定申告|昼職×夜職・店の掛け持ちで扱っています。

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2-3. 明細では総額・控除・源泉徴収を確認します

毎回の明細は、年間の収入を集計するためだけのものではありません。次の3点を確認します。

  1. 報酬や給与の総額
  2. 店が差し引いた項目と金額
  3. 所得税や源泉徴収税額

税金の名目は店によって異なり、「源泉」「所得税」「税金」などと書かれることがあります。明細に書かれた名目は、自分の判断で別の言葉へ置き換えず、そのまま残します。

バーやキャバレーなどで働くホステス等の報酬には、報酬額から控除額を差し引き、残額へ10.21%を掛ける源泉徴収の計算があります。控除額は「5,000円×計算期間の日数」から、同じ計算期間内にその人へ支払われる給与等の額を差し引いた金額です。ここでいう日数は出勤日数ではなく、報酬計算の基礎になった期間の初日から末日までの全日数です。

同じ店から給与と報酬の両方を受け取っている場合は、給与の分だけ控除額が小さくなり、源泉徴収される税額が変わります。

そのため、ホステス等に該当する報酬では、明細の税額が報酬総額の10.21%と一致しなくても、源泉徴収されていないとは限りません。

ただし、この計算は夜職全体に共通するものではありません。バー・キャバレー等のホステス報酬に該当する場合の計算です。業種や契約の形が違う場合に、そのまま当てはめないでください。

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3. 自分で集めるもの

3-1. その年の収入を確認できる記録

確定申告で使うのは、その年の収入に計上すべき金額です。日払い・当日精算が中心なら、実際の受取額と収入の時期は一致しやすくなります。

ただし、原則として入金日だけで年分を区切るわけではありません。12月に確定した報酬が翌年1月に支払われる場合などは、契約や取引の内容によって12月側の収入になることがあります。

集める記録は次のとおりです。

  1. 店から受け取った日々の明細、年間集計、ダウンロードデータ
  2. 通帳やネット銀行の入金履歴
  3. 送金アプリや決済サービスの受取履歴
  4. 手渡し分を書いた帳簿、メモ、カレンダー、スマホの記録
  5. 出勤履歴、予約履歴、店とのメッセージなど、金額を復元する手がかり

手渡しが中心の人ほど、銀行口座には記録が残りません。過去分を復元するときは、出勤日、明細、メッセージ、予約履歴を照らし合わせ、何を根拠に金額を出したかも一緒に残します。

根拠のない金額を作るのではなく、確認できた金額と推定を分けます。これからの分は、受け取った日に記録する形へ切り替えたほうが早く終わります。

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3-2. 経費を確認できる記録

経費の候補として集めるものには、次があります。

  • 紙のレシート・領収書・請求書
  • メールやサイトから受け取った電子領収書・請求書
  • クレジットカードや決済アプリの利用明細
  • 交通系ICカードの利用履歴
  • 通信料金などの請求書と支払記録
  • 通帳の引落履歴

何が経費になるかは夜職の経費はどこまで認められる?で、スマホ代の按分は夜職の通信費と家事按分|割合の決め方と根拠の残し方で扱っています。

集める段階では、経費に入るかどうかを急いで決めず、仕事に関係する可能性があるものを残します。判断は集計時にできますが、捨てた記録は必ず戻るとは限りません。

カード明細は支払先と金額を確認する手がかりになりますが、元の領収書や請求書と同じ情報が入っているとは限りません。電子領収書や請求書を受け取っている場合は、カード明細だけでなく、そのデータも保存します。

3-3. 差引後の金額だけを残さない

明細に「総額」「控除」「差引支給額」が分かれている場合は、3つとも残します。

差引後に受け取った金額だけを記録すると、店が何を差し引いたのか、源泉徴収された税額はいくらか、収入と経費をどう分けるのかが後から分からなくなります。

控除項目の意味が分からないときは、明細に印字された名称と金額をそのまま記録し、可能なら店へ内容を確認します。店が差し引いた項目だから自動的に経費になる、差引後の金額だけが売上になる、と決めないことが重要です。

4. 発行元から郵送・電子交付されるもの

4-1. 控除証明書が届く時期

控除証明書の多くは秋から冬に届きます。ただし、年の後半に初めて納付・払込みをした人は、翌年1月から2月になることがあります。

何の証明書か 発行元 届く時期の目安
国民年金保険料 日本年金機構 1〜9月に納付した人は例年11月上旬ごろ。10〜12月に初めて納付した人は翌年2月ごろ
生命保険料・地震保険料 各保険会社 秋ごろ。契約先と受取方法で異なる
iDeCoの掛金 国民年金基金連合会 例年10月下旬以降。払込状況や変更時期によって後続発送になることがある
小規模企業共済の掛金 中小機構 9月までに払込みがあれば11月。その年に加入し、10〜12月に払込みを開始した人は翌年2月

正確な発送日は年ごとに公表されます。前年と同じ日付だと決めず、申告する年分の案内を確認してください。

国民健康保険料は、国民年金保険料と扱いが違います。社会保険料控除の対象ですが、国民年金のように全国共通の控除証明書を添付・提示する仕組みではありません。納付済額のお知らせを送る自治体もありますが、送付の有無や時期は一律ではないため、納付書、口座振替、通帳、自治体の照会画面などから、その年に実際に納めた額を確認します。

一方、国民年金保険料の控除には、支払額を証する書類が必要です。書面で申告する場合は添付または提示します。このとき使えるのは控除証明書だけではなく、領収証書でも申告できます。e-Taxでは記載内容を入力して提出を省略できる場合がありますが、確認を求められることがあるため書類は保存します。

保険料と税金がいつ動くかの全体像は夜職の税金と保険料のカレンダーにまとめています。

4-2. 医療費控除に使うもの

医療費控除を使う場合は、医療費控除の明細書を作成して申告書へ添付します。領収書をそのまま提出する方式ではありません。

必要な項目が入った医療費通知を使うと、その通知に記載された分について明細書の記入を簡略化できます。要件を満たす医療費通知を添付した分は、領収書の保存も不要です。

ただし、年末近くの受診分が通知に入っていないことがあります。通知にない分は、領収書から明細書へ追加します。

集計の方法と、還付を受ける前に確認することは夜職の医療費控除の申告|還付を受ける前に確認することで扱っています。

4-3. オンラインで取得できるもの

控除証明書や医療費通知情報の一部は、マイナポータル連携や各発行元の電子交付サービスで取得できます。

全体として、一部の書類をオンラインで受け取り、残りを郵送で受け取る形にはできます。ただし、同じ証明書が紙と電子の両方で届くとは限りません。たとえば国民年金保険料の控除証明書は、電子データの送付対象者には書面が郵送されません。

オンライン取得を使うときは、どの書類を電子交付へ切り替えたかも記録しておきます。「郵便が来ない」と探し続けたあとで、電子交付へ切り替えていたと気づくことがあるためです。

手順は役所に行かずに申告を終える経路にあります。

5. 揃わないときの動き方

揃わない書類は、すべて同じ方法では戻りません。証明書は発行元へ再発行を依頼し、日々の取引記録は複数の履歴から復元します。

揃わないもの 最初にすること あわせて確認する記録
控除証明書 発行元の再発行手続または電子交付を確認する 発行元のサイト、マイナポータル、e-私書箱など
国民年金の証明書 再発行を待たずに領収証書が使えるか確認する 納付書の控え、領収証書、通帳の引落履歴
給与の源泉徴収票 店・勤務先へ交付を求める。期限後も出ない場合は不交付の届出を確認する 給与明細、交付を求めたメールやメッセージ
報酬の支払調書 交付を待たず、自分の記録で集計を始める 日々の明細、入金履歴、現金記録
日々の支払明細 店へ再発行や履歴確認ができるか聞く 通帳、アプリ、出勤履歴、予約履歴、メッセージ
領収書・請求書 発行元へ再発行や支払証明が可能か確認する カード明細、通帳、注文履歴、メール、電子領収書
何年も前の記録 金融機関やサービスへ取得可能な期間と費用を確認する 過去の端末、メール、クラウド、店との連絡履歴

領収書や請求書の再発行に応じるかどうかは、発行元によって違います。カード明細や通帳が残っていても、それだけで必要経費として必ず認められるとは断定できません。取引先、日付、金額、内容、仕事との関係を、残っている記録からできるだけ組み合わせます。

過去の分をまとめて出す場合の進め方は夜職で無申告だった人が今からやることに書いています。書類が完全に揃っていないことと、準備を始められないことは別です。


6. よくある質問

店に支払調書をもらえますか

発行してくれる店もありますが、報酬の支払調書に本人への交付義務はありません(2-1)。もらえない場合は、自分の明細と収入記録で進めます。

支払調書がなくても申告できますか

できます。支払調書を受け取ることは、報酬型の確定申告を始める条件ではありません(2-1・3-1)。

源泉徴収票と支払調書は違うものですか

違います。給与の源泉徴収票には本人への交付義務がありますが、報酬の支払調書にはありません(2-1・2-2)。

毎回の明細をなくしました

店へ履歴を出せるか確認し、通帳、アプリ、出勤履歴、予約履歴から復元します。差引後の入金額だけでなく、源泉徴収や店側の控除も確認してください(3-1・3-3)。

手渡しばかりで記録がありません

出勤日、メッセージ、予約履歴、カレンダーなどから、確認できる範囲を年分ごとに書き出します。根拠のない数字を作らず、復元に使った記録を残してください(3-1)。

控除証明書はいつ届きますか

多くは秋から冬です。年の後半に初めて納付・払込みをした人は、翌年1月から2月になることがあります(4-1)。

国民年金の控除証明書をなくしました

再発行を依頼できますが、領収証書が残っていればそれでも申告できます(4-1・5章)。

国民健康保険料の証明書が届きません

国民健康保険料は、国民年金のような全国共通の控除証明書を添付する仕組みではありません。その年に実際に納めた額を、自治体の通知、納付書、通帳などから確認します(4-1)。

領収書は申告のときに提出しますか

通常の必要経費の領収書は申告書へ添付せず、自分で保存します。医療費控除は医療費控除の明細書を添付し、領収書は原則5年間保存します(3-2・4-2)。

マイナンバーカードがないと申告できませんか

カードがなくても、書面などで申告できます。マイナンバーカードの有無で変わるのは、オンライン提出や自動取得に使える経路です(4-3)。

昼職と掛け持ちしています

給与を受け取った勤務先ごとに源泉徴収票を確認し、報酬の収入があれば自分の記録も集めます。片方だけでは年間の収入と源泉徴収税額が揃いません(2-2・3-1)。

何年も申告していません。過去の書類も要りますか

年分ごとに収入・経費・控除を分ける必要があります。通帳、アプリ、メール、店の履歴を、申告する年ごとに集めます(5章)。


7. まとめ

  1. 集めるものを「店」「自分」「発行元」の3つに分ける(1章)
  2. 給与なら源泉徴収票を確認する。通常は翌年1月31日、中途退職は退職後1か月が交付期限(2-2)
  3. 報酬なら支払調書を待たず、明細・通帳・アプリ・現金記録から始める(2-1・3-1)
  4. 明細は総額、控除、差引額、源泉徴収税額を残す(2-3・3-3)
  5. 入金日だけで年分を区切らず、年末の未払分がないか確認する(3-1)
  6. 電子領収書や請求書はデータのまま保存し、カード明細だけにしない(3-2)
  7. 控除証明書は秋から翌年2月ごろに届く。国民年金は領収証書でも申告できる(4-1・5章)
  8. 医療費控除は医療費控除の明細書を作り、通知にない分を領収書から足す(4-2)
  9. 揃わないものは、再発行する書類と別記録から復元するものに分ける(5章)

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本記事は情報提供を目的としたもので、個別の税務判断を保証するものではありません。最終的な判断は税務署または税理士へご確認ください。

この記事の情報について

制度や発送日は変更されることがあります。手続きをする時点の内容は、次の一次情報で確認してください。

  • 国税庁「No.7431 『報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書』の提出範囲と提出枚数等」
  • 国税庁「給与所得の源泉徴収票等の交付義務」
  • 国税庁「No.2807 ホステス等に支払う報酬・料金」
  • 国税庁「源泉徴収票不交付の届出手続」
  • 国税庁「No.2200 収入金額とその計算」
  • 国税庁「No.1130 社会保険料控除」
  • 国税庁「No.1119 医療費控除に関する手続について」
  • 日本年金機構「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について」
  • 国民年金基金連合会「小規模企業共済等掛金払込証明書」
  • 中小機構「掛金控除証明書」

最終更新:2026年8月

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